「負動産」時代の恐ろしい現実①
~地方都市が抱える不動産のマイナス価格と相続問題への警鐘!~
日本の地価はこれからどのようになるでしょうか?
基本的に財の価格は需要と供給によって決まります。不動産も決して例外ではありません。日本の総人口は2004年をピークに減り続け、今後100年間で100年前(明治時代後半)の水準である4,700万人程度に戻っていくと推測されています。これは、千年単位でみても類を見ない極めて急激な減少です。しかしながら、新築住宅は供給され続け、大都市部ではタワーマンションなども建設されるなど住宅の増加は続いています。
今後、住宅地の需要は確実に減るにもかかわらず、人口減少で空き家となった中古住宅を含め供給は増えていきます。青山や麻布といった東京都心の超一等地や大都市の一部、インバウンド需要の見込める地域を除き、需要と供給の原則から当然ながら今後不動産価格、特に住宅地価格は全国的に下落していきます。シンガポール国立大学が2015年に発表した研究によれば、日本の住宅地価格は2010年から2040年までの30年間で46%下落すると試算しています。また、野村総研の試算によると、2028年には全住宅6,899万戸のうち、25%超にのぼる1,772万戸が空き家になると予測しています。地方都市では、これをはるかに上回るペースで地価の下落と空き家が増加していくのは確実でしょう。
もう一つ注目すべき流れがあります。2030年頃、団塊の世代は80歳前後となり、その子供世代となる「団塊ジュニア」は50代半ばから後半、切実に老後の生活を考えなければならない時期に差しかかることになります。そこに訪れるのが「相続」に関する問題です。内閣府による平成25年版『高齢社会白書』によれば、団塊の世代の持ち家率は86.2%と非常に高く、1947年から1949年までの3年間の出生数が806万人であることを考えると、これから日本は数百万世帯の規模で子が親の資産を受け継ぐ『大量相続時代』を迎えることになります。
相続の対象は多岐にわたり、不動産や現金、保険・有価証券に加えて、宝石や自動車など、これまでは、親に借金でもない限り、相続すれば基本的にプラスになるとの思いで資産を受け継いできました。この相続にあたって一般的に最も高額なのが「不動産」です。2030年頃には、不動産は相続をすることによって団塊ジュニアが資産を手に入れるどころか、負債を引き継ぐことが当たり前になります。その最大の原因が、他ならぬ不動産価格の下落にあります。
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