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先祖代々の実家の処分

 私事ながら先祖代々の実家の処分が遂に完了しました。離れて都会で暮らしている子供たちも実家を利用しないことが分かってから、将来不動産の状態で引継いでもらうべきか、それとも形を変えて金融資産として引継いでもらうべきか悩みました。  ましてや愛着のある先祖代々の土地建物であれば、自分の代で処分することを良しとしないという考え方もあると思います。皆が直面する問題であり、地方の実家であれば、なおさら価値の減少の問題も抱えていることから、私なりの考え方を述べさせてもらいます。   まず、他の財と同様不動産価値は最終的には需要と供給で価格が決まります。人口減少の著しい地方部では、不動産価値が減少するのは避けられないことです。  愛着のある先祖代々の土地建物といっても、将来的には負債になる可能性すらあります。ましてや不動産は直ぐに換金できるものではありません。引継いだ相続人が処分するにも厄介な作業が待っています。将来相続の時に先祖代々の土地建物が残っていることで、資産であっても負債であっても処分に困っている事例や相続人間のトラブルになる事例も見てきました。  そこで、私は資産価値のある間に金融資産に変換し、金融資産を子供に均等に贈与することとしました。本来ならば先祖代々の土地建物として引継ぐべきものであるので、私が金融資産に変えて費消すべきでないことは明らかです。  すなわち、改正され基礎控除もできた相続時精算課税制度を有効に使って贈与をしていこうと考えました。  新NISA制度も始まりましたので、子供たちに全世界やS&P500等の指数に連動するインデックスファンドで長期に資産形成を行ってもらおうと思っています。取り崩して利用する場合は、孫の教育など将来財産となるものに限るとの思いも伝えます。  不動産のまま放置すれば、年1~2%減価するものが、インデックスファンドによる長期投資で仮に年3~4%複利で増加すれば、資産運用の勉強にもなるし、子孫の将来の財産形成の思いも含めた有効な相続になり、先祖も喜んでくれるのではないかと思っています。

エンディングノート

 エンディングノートとは、人生の最期に向けて自分の財産やモノ、介護・医療、葬儀やお墓について、記録したものとされています。  縁起でもない、まだまだ先のことと、作っていない人も多いのではないでしょうか?    でも考えてみてください。今や銀行口座や証券口座もネットが当たり前となっている現状から、どこに資産があるかなんてわからないのが普通じゃないでしょうか。そうなると何の記録もなく亡くなった場合、一部の資産を除外したまま相続が完了することになる恐れがあります。私も父親が7年前に亡くなったとき、金融機関に口座の存在を確認しましたが、ネットを使ってないのが分かっていたため、地方銀行、信用金庫、郵便局、証券会社など調べるところは限られていたことから、恐らく漏れは無かったと思いますが、もし、ネットを利用して、その記録もなかった場合はどのように調べればよいのかわからず、恐らく漏れがあったと思います。    このことを考えるとエンディングノートは重要な役割を担うはずです。私は、エンディングノートを書くにあたり、2冊のノートを購入しましたが、いずれのノートもデジタル資産に対する配慮が不十分でした。今やデジタル資産についての記載を漏れなくすることが最大の利点だと思いますから、この辺りはもう少し改善する余地があると感じています。このため、もし、新規で購入するなら自由に記載するスペースが多いノートをお勧めします。

「負動産」時代の恐ろしい現実②

 地方都市など数万人規模で人口が減少している地域は、空き家が増え、インフラは劣化し、場合によっては産業も衰退していきます。不動産価格、特に住宅価格の下落とともに、団塊の世代が住んでいた大量の住宅が、その死によって無用の長物と化すことになり、需要が減少するにもかかわらず、大量に市場に供給され続けることになります。そうなると、不動産価格は輪をかけて下がっていきます。    相続する土地の価格は、その土地の相続税路線価や固定資産税評価額に倍率を乗じた価格を基準に評価されます。これは、適正な価格とされる地価公示価格等の80%水準です。また、家屋の価格は固定資産税評価額が基準となります。家屋はどんなに老朽化しても20%の価値は保つのが固定資産税評価基準であり、それを基にした相続税の評価基準です。この結果、土地と建物を合わせた価格は、相続税評価額の方が適正な価格を上回る現象が普通に発生しています。現在、大都市部の一部の不動産価格はわずかに上昇傾向にありますが、地方都市では下落が続いています。この二極化は今後も続くでしょうが、地価が上昇している都心とはいえ市場がひとたび失速して不動産の売値が下がれば、相続税の評価額と実際の売値との間で差が大きく出て、売却を考えた場合、赤字の相続になるケースが増えることになります。これは地価の下落が続く地方都市ではもはや当たり前になっています。    不動産を売らずにそのままにしておけば、相続税に加えて、住んでいないにもかかわらず、毎年の固定資産税や維持費が重くのしかかってきます。相続するだけで損をする「負動産」が、団塊の世代の高齢化や相続をターニングポイントとして日本全体で急増していくことになります。団塊の世代から相続を受けることになる団塊ジュニア世代は、既に都市部に住宅を所有していることが多いと考えられます。両親の家が居住地から離れたところにあれば、その管理までなかなか手が回らないのも事実です。建物は放っておけばすぐに劣化し、人に貸すことも売ることもできなくなってしまいます。したがって相続人は「すぐに売る」か、「取り壊して更地にするか」の二択を迫られることになります。もちろん建物を取り壊すことなく即座に買主が見つかれば良いのですが、築後数十年を過ぎた団塊世代の住宅では、現実はそのようにうまくいくものではありません。そして、建物を解体するにも最低でも坪当たり3~4万円、総額200万~300万円もの高額な費用の負担が必要となります。    さらに、もっと厄介な問題が顕在化してきました。それは、戸建て住宅のマイナス価格の問題です。戸建て住宅は、不動産鑑定評価の立場で考えると「自用の建物及びその敷地(自建て)」の類型の不動産になり、最有効使用の観点から建物を取り壊すことが妥当と判断される場合において、更地価格から取壊し費用を差し引いた価格が適正な不動産価値となります。この更地価格から取壊し費用差し引いて求めた価格がマイナス価格となる場合が地方都市の住宅地で実際に見受けられるようになってきました。今まではあまり考えてこなかったことが、農村部だけでなく、地方都市の住宅地でも当たり前になりつつあります。舞鶴市のような人口8万人規模の都市でもこのような状況が顕在化しつつあり、今後も人口が減少していく地域では、土地価格の低下と取壊し費用の上昇で一般的になることが容易に想像できます。    こうなると相続の際は、もう見て見ぬふりをするしかないということになるでしょう。一般的な戸建て住宅でも、固定資産税は10~20万円近くかかります。今後住むこともない不動産の売り時は「今」がチャンスなのかもしれません。しかし、既に買い手は徐々に見つかりにくくなっているのが現実です。すなわち、現在所有している不動産は、2030年頃の「大量相続時代」には4分の1が空き家と化し、その頃には住宅地価格が半額になっていることになります。皆が現在信じている不動産の価値は、ほとんど崩壊してしまうと考えておくべきです。    このように「不動産の相続で損をするケース」が増えていくなかで、不要な資産の『押しつけ合い』が家族間で多発することになるでしょう。『貯金はいるけど厄介な不動産はいらない』と誰かが言い出せば、「相続」が「争族」化してしまうことが懸念されます。相続放棄や押しつけ合いが続けば、行政も家族も手をつけることができない「負動産」が増加していくことになります。    一度「負動産」のスパイラルに巻き込まれれば、もはやどうすることもできないことになります。それが「大量相続時代」に待ち受ける「負動産」の恐ろしい現実なのです。現在のところこの問題に関する有効な処方箋はないのが現実ですが、確実に言えるのは、地方都市等の人口減少が進む地域の住宅地価格はこれからも需要と供給の原則から下落が続くことです。「大量相続時代」が来る前に、「マイナス価格」になってしまう前に、また、「ババ抜き」になってしまう前に処分するのが、悲しいかな現時点で取りうる有効な方策になっています。

「負動産」時代の恐ろしい現実①

~地方都市が抱える不動産のマイナス価格と相続問題への警鐘!~    日本の地価はこれからどのようになるでしょうか?    基本的に財の価格は需要と供給によって決まります。不動産も決して例外ではありません。日本の総人口は2004年をピークに減り続け、今後100年間で100年前(明治時代後半)の水準である4,700万人程度に戻っていくと推測されています。これは、千年単位でみても類を見ない極めて急激な減少です。しかしながら、新築住宅は供給され続け、大都市部ではタワーマンションなども建設されるなど住宅の増加は続いています。    今後、住宅地の需要は確実に減るにもかかわらず、人口減少で空き家となった中古住宅を含め供給は増えていきます。青山や麻布といった東京都心の超一等地や大都市の一部、インバウンド需要の見込める地域を除き、需要と供給の原則から当然ながら今後不動産価格、特に住宅地価格は全国的に下落していきます。シンガポール国立大学が2015年に発表した研究によれば、日本の住宅地価格は2010年から2040年までの30年間で46%下落すると試算しています。また、野村総研の試算によると、2028年には全住宅6,899万戸のうち、25%超にのぼる1,772万戸が空き家になると予測しています。地方都市では、これをはるかに上回るペースで地価の下落と空き家が増加していくのは確実でしょう。    もう一つ注目すべき流れがあります。2030年頃、団塊の世代は80歳前後となり、その子供世代となる「団塊ジュニア」は50代半ばから後半、切実に老後の生活を考えなければならない時期に差しかかることになります。そこに訪れるのが「相続」に関する問題です。内閣府による平成25年版『高齢社会白書』によれば、団塊の世代の持ち家率は86.2%と非常に高く、1947年から1949年までの3年間の出生数が806万人であることを考えると、これから日本は数百万世帯の規模で子が親の資産を受け継ぐ『大量相続時代』を迎えることになります。    相続の対象は多岐にわたり、不動産や現金、保険・有価証券に加えて、宝石や自動車など、これまでは、親に借金でもない限り、相続すれば基本的にプラスになるとの思いで資産を受け継いできました。この相続にあたって一般的に最も高額なのが「不動産」です。2030年頃には、不動産は相続をすることによって団塊ジュニアが資産を手に入れるどころか、負債を引き継ぐことが当たり前になります。その最大の原因が、他ならぬ不動産価格の下落にあります。   ②に続く